2015年6月13日 シンポジウム「急進展する軍学共同にどう対抗するか」 集会アピール



 私たち、軍学共同反対アピール署名の会をはじめとする15団体は、6月13日に「急進展する軍学共同にどう対抗するか」と題するシンポジウムを開催した。日本で今まさに急進展しつつある軍学共同の実態を報告するとともに、その背後にある科学の両義性や科学者の社会的責任の問題、そしてそもそも何のための学問研究であるかという問題を集中的に議論した。とりわけ問題となったのは、軍学共同がいかに社会的正義に反し、大学や研究機関における学問の自由を阻害し、次世代の教育研究に大きな危機をもたらすか、という重大問題である。

 軍学共同が急進展するきっかけになったのは、2013年12月に閣議決定された「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について」であろう。そこでは「大学や研究機関との連携の充実等により、防衛にも応用可能な民生技術(デュアルユース技術)の積極的活用に努める」とされている。それ以来、デュアルユースの言葉が大手をふるって使われ、防衛省からの軍学共同のための大学や研究機関への働きかけが活発化している。すなわち、防衛省技術研究本部との「技術協力」、その実績に基づく防衛装備のための予算化、軍学共同を専門に扱う部署たる防衛装備庁の設置方針、そして競争的資金制度としての「安全保障技術研究推進制度」の創設という、矢継ぎ早な動きとなっている。

 むろん、その背景には、集団的自衛権行使容認の閣議決定やそれに基づく安全保障法制と称する憲法に違反する戦争法案などによって、近代国家の根本原則である立憲主義を破壊し、軍事化路線を露骨に推進している安倍政権の存在がある。また,武器輸出三原則を防衛装備移転三原則に変更したことに見られるように,軍事技術を日本の輸出産業にしたい財界の強い要求があることにも注意しなければならない。「イノベーション」や「国際競争力強化」に大学を奉仕させようとする今日の「大学改革」と軍学共同は軌を一にしている。軍学共同に反対することは現在の政治情勢に強くノーを突きつける宣言である。日本は今,憲法9条をないがしろにし、軍事大国化に向かって突き進むという危機な流れの中にある。これを許容するなら、私たちは後世に対して重大な過ちを犯したと非難されることは必至である。軍学共同は軍事大国化・大学の産業奉仕化路線の一環である。これに反対するために科学者のみの運動ではなく、広く市民社会と連帯していくことが不可欠である。

 とりわけ、日本の学術を担う大学人にとって、科学の軍事研究への加担は、科学者としての倫理が問われるだけでない。次世代の科学者・技術者を養成するうえでの学生・若手研究者への教育的悪影響、さらに大学の自治や学問の自由を脅かす事態を招来するものとして、黙過できない。防衛省がどう説明しようとも、軍事研究は秘密事項となって成果の公開の自由を脅かすことは確実である。そもそも大学における教育研究の成果が誰でも等しく利用することができるものである。軍学共同は公共財としての学術の本質、そして学問の普遍性や国際性と、明確に背馳することは明らかである。そしてまた、軍事に奉仕する科学研究は、世界の平和と人類の福利のためであるがゆえに育まれてきた学術に対する国民からの信頼を,裏切るものとなるだろう。

 このシンポジウムでは、以上の問題点が深められ、私たちは大学・学会・学術団体の連携を強化することの重要性を強く認識した。さらにこの連携をいっそう強化して軍学共同反対の輪を広げ、正しい科学のあり方、国民の平和と幸福、未来の学問研究への責任などについて、今後いっそう共通意識を深めていく必要がある。それらを私たち本シンポジウム参加者は確認し、広く市民社会とも連帯しつつ、軍学共同反対の運動を強化していくことを広くアピールする。

 私たちは、軍学共同を進展させないため、大学・研究機関およびその構成員に対して、次のような行動規範を守るよう呼びかける。
 (1) 国内外を問わず、軍と関連する諸機関と、共同研究・協力研究・連携研究など研究に関する一切の関係を持たない(*)。
 (2) 国内外を問わず、軍と関連する諸機関から、いかなる資金援助も受けない。
 (3) 国内外を問わず、軍と関連する諸機関が主催するイベント(コンテスト等)に参加しない。
 (4) 国内外を問わず、軍人養成機関の職員・学生等を、研究生・研修生として受け入れない。

 (*)国や機関によっては平和的事業について軍が関与している場合があり、そのような場合については理由を明らかにして研究に関係することは許容される。

2015年6月13日
シンポジウム「急進展する軍学共同にどう対抗するか」参加者一同

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