2016年4月25日 軍学共同反対 2団体共同記者会見

 私たち「軍学共同反対アピール署名の会」と「大学の軍事研究に反対する署名運動」(事務局長:野田隆三郎 岡山大学名誉教授)の2団体は、2016年4月25日に日本記者クラブにおいて共同で記者会見を行い、軍学共同反対、とりわけ防衛省の軍事に関する研究公募「安全保障技術研究推進制度」(5月18日締切)に科学者が応募しないように訴えました。

 昨年、防衛省は大学・研究機関・企業などの科学者を対象として安全保障技術研究推進制度を新設し、109件の応募がありました。これは戦後、日本学術会議が「軍事研究を行わない」という声明を出して退けてきた軍学共同を推し進めることであり、絶対に容認することはできません。私たち2団体は、軍学共同に反対する署名活動や、各大学等への要請活動を行ってきました。その結果、この問題は社会的にも関心を集め、応募大学内でも様々な議論を巻き起こしました。しかし、防衛省は今年、昨年の2倍の6億円の予算でこの制度をさらに進めようとし、募集を受け付け中です(応募締切:5月18日)。軍学共同に反対する運動を行ってきた私たち2団体は、現在の動きに警鐘を鳴らし、応募を思いとどまるように科学者に訴えかける必要を感じ、記者会見を行いました。

 池内了・名古屋大学名誉教授(軍学共同反対アピール署名の会・代表)は、安倍内閣が2013年12月に「大学や研究機関との連携の充実により、防衛にも応用可能な民生技術(デュアルユース技術)の積極的な活用に努める」という内容の「平成26年度防衛計画大綱」を閣議決定したことや、2014年4月に武器輸出三原則を見直し、武器や関連技術の輸出を容認する閣議決定を行ったことが、軍学共同を後押ししていることを指摘しました。そして、「今年度の公募の募集要項は、昨年度に比べて基礎研究であることが強調されて、防衛省備品の開発である印象が薄められようとしているいる」と指摘しました。そして、「防衛省からの資金であれば軍事研究であり、秘密研究になっていく。大学の自治は侵され、学生や次世代の研究者が軍事研究を当然と受け取るようになっていく」と警鐘を鳴らしました。

 野田隆三郎・岡山大学名誉教授は、昨年度に安全保障技術研究推進制度に応募した大学のうち18大学を9000人超の署名を携えて、各大学に公募に応じないように要請のため訪問した経験を話しました。「大学では、防衛省の資金を、文部科学省の資金と同じように扱っていて、緊張感がなかった。波風を立て、国民の反対の声をもっと汲み上げていかなければならない」と話しました。

 東京新聞、毎日新聞、埼玉新聞、しんぶん赤旗、IWJ(インディペンデント・ウェブ・ジャーナル)などが、この記者会見の模様を報じました。



 ↑ 2016年4月26日 東京新聞の特報面より

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