軍学共同に与しない島根大学教職員有志アピール(2017年4月13日)

 私たち島根大学教職員有志は、戦争につながる関係機関との共同研究、軍事・戦争に資する研究への参加・協力を一切拒みます。そして、島根大学はこうした姿勢を明確に表明すべきだと考えます。

 かつて多くの科学者が軍事に関与した歴史をもつ国、そして唯一の被爆国である日本の科学者は、科学の軍事利用の非人道性に対して最も鋭敏でなくてはならないはずです。劇作家ブレヒトは『ガリレイの生涯』のなかで、ガリレイに「科学の唯一の目的は、人間の生存条件の辛さを軽くすることにある」と語らせています。私たちはこの科学の目的にそって日々の研究に取り組みたい、また、そうした研究のために支援・協力したいと考えています。戦争はこうした科学の目的とは相容れないものであり、私たちは、軍事へのわずかな加担をも峻拒します。

 日本学術会議でも、1950年と1967年には軍事目的のための研究を行わないという決議を行っています。ところが現在、防衛省の「安全保障技術研究推進制度」が開始されるなど、政府による軍事目的の研究推進の動きを受けて、「安全保障と学術に関する検討委員会」を設置し、この決議見直しを含めて議論されています。これまでの決議を守り、従来どおり、戦争につながる一切の共同研究や資金提供を拒否するという結論を維持するためにも、私たちは声をあげるとともに、島根大学としても態度表明すべきであると考えます。

 またこうした軍事・戦争に資する研究資金の提供を前に、背に腹は代えられぬと多くの研究者が申請について逡巡している背景には、経常的研究経費の削減のもとで資金確保をめぐる熾烈な競争を強いられていることがあります。「人間の生存条件の辛さを軽くする」という科学本来の目的にそって私たちが日々の研究に取り組むため、基盤的・経常的研究経費の大幅な回復・増加を強く求めます。

 私たちは以下について強く主張するとともに、島根大学にも同じ立場に立って欲しいと願っています。

1.私たちは、戦争につながる関係機関との共同研究、軍事・戦争に資する研究への協力・参加を一切拒みます。島根大学は日本学術会議の結論に先んじて、軍学共同へ与しないという姿勢を明確化し、「安全保障技術研究推進制度」への応募は行わないと明言すべきです。

2.私たちは基盤的・経常的研究費を大幅に回復・増加させることを求めます。島根大学は、運営費交付金大幅増額に向けて各関連機関への働きかけを強めるべきです。


アピール呼びかけ人:

総合理工学部:石賀裕明 高須晃 内藤貫太

生物資源科学部:伊藤勝久 尾崎浩一

法文学部:田中則雄 野田哲夫 吹野卓

教育学部:栢野彰秀 河添達也 富澤芳亜


賛同人:

浅田健太朗 朝田良作 安齋有紀 飯野公央 伊集院敬行 磯村篤範 板垣貴志 一戸俊義 伊藤光雄 伊藤康宏 井上憲一 上園昌武 上野誠 上森さくら 内田和義 会下和宏 江角智也 大橋泰夫 岡村宏章 大日方克己 居石正和 加川充浩 葛西絵里香 鹿住大助 金山富美 片岡佳美 川瀬雅也 木原康孝 國井秀伸 久保満佐子 黒田文 小池浩一郎 小林准士 小林奈緒子 小室裕明 佐々木愛 佐藤利夫 三瓶良和 田中奈緒美 田部恵 渋谷聡 巣山弘介 城惣吉 関耕平 田坂郁夫 髙橋絵里奈 武田信明 玉樹智文 内藤忠和 永島いずみ 中間由紀子 長岡真吾 中務明 新部一太郎 西川彰男 野本瑠美 長谷川博史 初見真知子 林広樹 浜田幸絵 広橋教貴 福井栄二郎 平郡達哉 藤本晴久 毎熊浩一 槇原茂 松崎貴 丸橋充拓 美濃地裕子 三宅孝之 宮澤文雄 宮本恭子 諸岡了介 望月真祐 山岸主門 吉岡誠治 渡邉英俊


匿名賛同:10


OB/OG:芦田耕一 井口隆史 井上寛司 猪原節之介 岡崎勝彦 岡崎由美子 北川泉 高畠育雄 竹永三男 田中義昭 谷口憲治 富野暉一郎 西村正太郎 保母武彦 本多茂男 松尾寿 三輪拓夫 山崎稀嗣


116名(2017年4月13日時点)