防衛省の2023年度概算要求は過去最大の約5兆5947億円と新聞で報じられています。しかもそこには金額を一切示さない敵基地攻撃能力も含めた新たな装備や研究などの「事項要求」の金額は含まれず、それは今年12月にこの5兆5947億に上乗せされるのです。さらに、昨年まで概算要求で示していた各項目ごとの要求金額も伏せられています。その積み上げが5兆5947億円にもなるのに、各項目の要求金額が分からなくては、私たちは防衛省の2023年度概算要求の是非を検討することができません。そこで2022年9月14日、社民党福島みずほ参院議員といくつかの市民団体メンバーは、この軍事費隠ぺい問題で防衛省交渉を行ないました。そこに軍学共同反対連絡会幹事・武器取引反対ネットワークNAJAT代表の杉原浩司さんも参加し追及されました。野党からも防衛省の不透明な概算要求に抗議の声が上がる中で、防衛省は「概算要求の項目ごとの要求金額を公表しないが、聞かれかれれば口頭で答える」という返答をしたため、福島議員らは概算要求として金額が計上されたおよそ100項目について一つ一つ質問しました。その交渉の中で、「安全保障技術研究推進制度」の要求は今年度の1.3倍の149億円、橋渡し研究費用の要求は今年度9億円の24倍の214億円であることが判明しました。概算要求の項目ごとの金額をメモした書類(文責:杉原)の19ページに、安全保障技術研究推進制度や橋渡し研究について記述されています。これは、来年度から本格的に大学・研究機関・民間企業で武器開発に向けた橋渡し研究を進めていく防衛省の決意の表れと考えられ、私たちとしては注視するとともに抗議の声を上げていく必要があります。また国民に公表すべき概算要求金額を議員に対してだけ口頭で言うなどということは国民を愚弄するものです。そのことに抗議するとともに、防衛省が出した概算要求の項目ごとの金額をメモした書類(文責:杉原)を資料として公表しますのでご活用ください。「事項」と書かれているものは、今後12月に5兆5947億円にさらに上乗せされる「事項要求」です。