私たちの山口大学への抗議・要請(2019年10月10日)に対し、山口大学は、回答期限の10月18日を過ぎても、私たちの申し入れ書の受け取り拒否の理由を示しませんでした。かくなる上は、最早、直接行動しかないと考え、11月1日、下記の通知書を学長に送り、11月7日、申し入れ書受け取りと市民の声を聞く場の設定を求めて市民等9人で、大学総務課へ出向きました。訪問日の二日前にも、「対応できない」という大学からのメールが届いていたので、受取拒否と論戦覚悟で乗り込んだのですが、行ってみると予想に反して、大学は一室を用意し、学術研究部次長ほか2名が対応、無事、学長宛の申し入れ書を手渡すことができました。思うに、当初、大学は受け取りを拒否すれば、われわれがあきらめて引き下がると考えたのでしょうが、われわれが引き下がらず、正論で押し続けたので対応に苦慮、押しかけてこられるに及んで、応じるほかなかったのでしょう。
会談の概要 はじめに野田隆三郎・本会共同代表が申し入れ書と質問書を読み上げ、そのあと「一点だけ」と言って以下を確認。2「貴学は今回の応募研究は軍事防衛のための研究ではないと言っているが、今年の安全保障技術研究推進制度の公募要領には同制度は防衛分野での将来の研究開発に役立てるために公募するとはっきりと書かれている、この点、貴学はどう考えるか」。相手が「そういう見方もあるかも知れないが…」と言い始めたので、「そういう見方もあると言って、ここの文章を他にどういう見方があると言うのか。軍事目的以外に読みようがあるのか。応募した大学に行くとどこも軍事研究ではない、民生用だと言うけれど、これは欺瞞だ、最高学府である大学がこんな欺瞞を振りまくようでは日本の将来は危うい」と野田共同代表。相手は無言。そのあと市民が意見を述べる。一人が「国立大学が防衛省からお金をもらうなんて。国立大学はもっと自負を持って欲しい」と言うと、相手が「そんな話を聞くために、ここにきているのではない、申し入れ書を受け取れと言うからきている」とひどい発言。野田共同代表が「それは違う。11月1日付通知書には申し入れ書の受け取りと市民の意見を聞く場の設定を求めて訪問すると書かれている」と指摘。また市民からは「ぜひ質問書に回答してほしい」「防衛省が純粋に民生用にお金を出すはずがないと考えるのが常識」など素朴な市民感情の表明があった。会談は約50分で終了した。
2019年11月7日 山口大学への要請の後、大学正門前で学生に対して訴える野田隆三郎・本会共同代表
通知書
山口大学学長 岡 正朗 様
2019年11月1日 軍学共同反対連絡会
貴職は、貴学が本年度、防衛装備庁公募研究に応募・採用されたことに対する私たちの申し入れ書の受け取りを拒否し、さらに、その理由を尋ねた私たちの抗議・要請文(10月11日付)に対しても、回答期限の10月18日を過ぎても回答されませんでした。この結果、貴職は、正当な理由もないまま、申し入れ書の受け取りを拒否されたと判断せざるを得ません。
国民の税金で運営されている国立大学が、正当な理由もなく、国民の申し入れを拒否し、国民の声に一切、耳を貸そうとしないことは、決して許されることではありません。そこで私たちはあらためて、貴学が私たちの申し入れ書を受け取るとともに、私たちの意見を聞く場を設定されることを求めて11月7日(木)10時に貴学総務課を訪れますのでお知らせします。2015年に貴学が安全保障技術研究推進制度に応募されたとき、本連絡会の構成団体である「大学の軍事研究に反対する会」が2016年3月29日に貴学を訪れ、再び応募することのないよう求める抗議文を9016人の署名を添えて提出しました。さらに本連絡会は一昨年6月、貴学に同制度に応募しないよう求める要望書を8370人の署名を添えて届けました(郵送)。今回、私たちは、これら1万5千人を超える国民を代表して貴学を訪れますので、貴学が国立大学にふさわしい対応を取られますよう要望します。
私たちは、これまで防衛装備庁公募研究に応募した、私学を含む多くの大学を訪れ、申し入れ書を提出してきましたが、受け取りを拒否したのは貴学以外にありません。貴学が国立大学にふさわしい対応を取られますよう、重ねて要望いたします。
軍学共同反対連絡会
山口大学からの回答書
令和元年11月26日
軍学共同反対連絡会御中
山口大学
令和元年11月7日付けでありました質問1から3に対して、総括して回答いたします。本学は、これまで説明しているとおり、当該研究については、大学として基礎的な研究であること、軍事防衛目的ではないことを確認していますし、このことは、学内外に公表しております。回答は以上です。