昨年12月20日、内閣府に設置された「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会」は、日本学術会議(以下、学術会議)を法人化するとともに、政権がチェックする様々な新たな制度を法律で定めるとした「最終報告」註1)を公表した。政権は今、「最終報告」を基に2026年10月に法人化するべく法案作成を進め、今通常国会に上程しようとしている。
それは学術会議の独立性を高めるためとされているが、総理大臣任命の監事、総理大臣任命の委員による評価委員会という新たな介入の仕組みを作り、また中期的活動方針と年度計画作成を義務づけて予算を梃子に政府の意に沿う活動をさせ、さらに選考助言委員会を新設し会員選考に政権や財界の意向を反映させるなど、学術会議を政権に従属させる法人化に他ならない。しかも「新たな学術会議」の発足時の会員は、政権や財界の意に沿う学者を送り込むために従来とは異なる特別な方法で選ぶのである。
政権が求めるのは「政策のための科学」を「政府等とコミュニケーションをとりながら適時適切に提供」(最終報告)する学術会議であり、その「機能・役割を十分に発揮していくという前提の下で」財政支援を行うにすぎない。
この間、自民党や一部マスコミから、軍事研究に反対する学術会議への攻撃が執拗になされてきた。2022年に制定された「国家安全保障戦略」に沿った軍学共同の推進と学術会議潰しは軌を一にした動きであり、今後は学術会議を政権のコントロール下におき、軍事研究に反対することは許さず、軍事研究に動員していく狙いであることは明白である。
軍学共同反対連絡会は、「学問の自由」を守り、大学での軍事研究・軍学共同を阻止するために、法人化に強く反対する。
学術会議は、1949年、前身である学術研究会議が当時の政権の統制下で戦争に協力した過ちへの反省の上に、政権から独立した国の機関として発足した。学術会議が「戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない決意の表明」(1950年)、「軍事目的のための科学研究を行わない声明」(1967年)、そしてそれらを継承する「軍事的安全保障研究に関する声明」(2017年)を発出してきた背景には、科学者は二度と戦争に協力しないという原点がある。
また学術会議の独立性は、憲法23条「学問の自由」の保障に基づいている。国の機関でありながら政権から独立して発足したのは、学術の論理と時の政権の政策とは異なるもので、時に政権批判が自由闊達に行われることこそ戦後の深い反省によるものであった。学術会議は設立の原点と独立性を堅持し、社会と市民に対し責任を持って本来の使命を全うするべきである。
そもそも今回の法人化の出発点は2020 年の菅首相による6名の学術会議会員の「任命拒否」だった。これは学問の自由を保障する憲法23条を踏みにじる暴挙であり、全国1200にも及ぶ学協会、大学関係諸団体、市民団体等から抗議の声明が発出された。ところが、政権や自民党は自らの任命拒否の姿勢を改めるどころか、逆に学術会議の在り方に問題があるかのような議論にすり替え、介入を続けたのであり、今に至るも任命拒否について一切の説明をしていない。政権は6 名の会員をすみやかに任命し、「法人化」を断念するよう要求する。
政権が学術会議の解体を推し進めようとしている今、学術会議は歴史に恥じない真に大局的判断をすべきである。設立の原点の理念にかえり、その本来の使命を追求し、その独立性・自律性を守るために、社会と市民全体に対し責任を持って、法人化に反対する毅然とした態度で、政権に臨むことを要請する。そのためには学術会議全会員と激論を交わし、かつ学協会、市民の声に耳を傾け、政府の暴挙に反対する体制を整えるべきである。
学術会議法人化は憲法で謳われている学問の自由、民主主義、平和の問題としてすべての市民に関わる問題となっている。とりわけ憲法23条「学問の自由」が骨抜きにされるか否かの歴史的岐路に立っている。「任命拒否」に抗議して立ち上がったすべての学協会・団体・個人が法人化を阻止し「学問の自由」を守るために再度声を上げることを要請する。
平和と民主主義を愛する全ての人々が声を上げれば、少数与党の国会で廃案に追い込むことは可能である。
軍学共同反対連絡会は、「学問の自由」を守り、軍学共同を許さないために全力を尽くす決意である。
昨年12月20日、内閣府に設置された「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会」は、日本学術会議(以下、学術会議)を法人化するとともに、政権がチェックする様々な新たな制度を法律で定めるとした「最終報告」註1)を公表した。政権は今、「最終報告」を基に2026年10月に法人化するべく法案作成を進め、今通常国会に上程しようとしている。
それは学術会議の独立性を高めるためとされているが、総理大臣任命の監事、総理大臣任命の委員による評価委員会という新たな介入の仕組みを作り、また中期的活動方針と年度計画作成を義務づけて予算を梃子に政府の意に沿う活動をさせ、さらに選考助言委員会を新設し会員選考に政権や財界の意向を反映させるなど、学術会議を政権に従属させる法人化に他ならない。しかも「新たな学術会議」の発足時の会員は、政権や財界の意に沿う学者を送り込むために従来とは異なる特別な方法で選ぶのである。
政権が求めるのは「政策のための科学」を「政府等とコミュニケーションをとりながら適時適切に提供」(最終報告)する学術会議であり、その「機能・役割を十分に発揮していくという前提の下で」財政支援を行うにすぎない。
この間、自民党や一部マスコミから、軍事研究に反対する学術会議への攻撃が執拗になされてきた。2022年に制定された「国家安全保障戦略」に沿った軍学共同の推進と学術会議潰しは軌を一にした動きであり、今後は学術会議を政権のコントロール下におき、軍事研究に反対することは許さず、軍事研究に動員していく狙いであることは明白である。
軍学共同反対連絡会は、「学問の自由」を守り、大学での軍事研究・軍学共同を阻止するために、法人化に強く反対する。
学術会議は、1949年、前身である学術研究会議が当時の政権の統制下で戦争に協力した過ちへの反省の上に、政権から独立した国の機関として発足した。学術会議が「戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない決意の表明」(1950年)、「軍事目的のための科学研究を行わない声明」(1967年)、そしてそれらを継承する「軍事的安全保障研究に関する声明」(2017年)を発出してきた背景には、科学者は二度と戦争に協力しないという原点がある。
また学術会議の独立性は、憲法23条「学問の自由」の保障に基づいている。国の機関でありながら政権から独立して発足したのは、学術の論理と時の政権の政策とは異なるもので、時に政権批判が自由闊達に行われることこそ戦後の深い反省によるものであった。学術会議は設立の原点と独立性を堅持し、社会と市民に対し責任を持って本来の使命を全うするべきである。
そもそも今回の法人化の出発点は2020 年の菅首相による6名の学術会議会員の「任命拒否」だった。これは学問の自由を保障する憲法23条を踏みにじる暴挙であり、全国1200にも及ぶ学協会、大学関係諸団体、市民団体等から抗議の声明が発出された。ところが、政権や自民党は自らの任命拒否の姿勢を改めるどころか、逆に学術会議の在り方に問題があるかのような議論にすり替え、介入を続けたのであり、今に至るも任命拒否について一切の説明をしていない。政権は6 名の会員をすみやかに任命し、「法人化」を断念するよう要求する。
政権が学術会議の解体を推し進めようとしている今、学術会議は歴史に恥じない真に大局的判断をすべきである。設立の原点の理念にかえり、その本来の使命を追求し、その独立性・自律性を守るために、社会と市民全体に対し責任を持って、法人化に反対する毅然とした態度で、政権に臨むことを要請する。そのためには学術会議全会員と激論を交わし、かつ学協会、市民の声に耳を傾け、政府の暴挙に反対する体制を整えるべきである。
学術会議法人化は憲法で謳われている学問の自由、民主主義、平和の問題としてすべての市民に関わる問題となっている。とりわけ憲法23条「学問の自由」が骨抜きにされるか否かの歴史的岐路に立っている。「任命拒否」に抗議して立ち上がったすべての学協会・団体・個人が法人化を阻止し「学問の自由」を守るために再度声を上げることを要請する。
平和と民主主義を愛する全ての人々が声を上げれば、少数与党の国会で廃案に追い込むことは可能である。
軍学共同反対連絡会は、「学問の自由」を守り、軍学共同を許さないために全力を尽くす決意である。
註1)「世界最高のナショナルアカデミーを目指して~日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会最終報告書~」(2024.12.20)