宇宙航空研究開発機構への要請(2019年12月17日)

宇宙航空研究開発機構理事長 山川 宏様
理事・研究者・職員の皆様

2019年12月17日

軍学共同反対連絡会

 貴機構の様々な取り組みに敬意を表します。
 とりわけ今秋の相次ぐ台風被害に際して、貴機構が「だいち2 号」による緊急観測を実施され、浸水範囲の解析などに大きな役割を果たすことで災害救助や支援に貢献されたことは素晴らしいことでした。また地球観測研究センターのこの間の成果は地球環境を守る上で重要な意味を持っています。さらに「はやぶさ2」の小惑星Ryugu 探査は、科学技術の発展に寄与するだけでなく、多くの人々、とりわけ子どもたちの夢とロマンに結びつき、未来を担う子どもたちの科学への興味や関心を育むものです。
 それだけに私たちは、貴機構が、平成28 年4月1日に閣議決定された「宇宙基本計画」において「政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関」と位置付けられ、とりわけ「宇宙安全保障の確保」が第一の任務と位置付けられたことに強い危惧を抱いてきました。その中でJAXA は、「宇宙空間の状況把握やスペース・デブリの脅威・リスクに対処するための研究開発や政府による宇宙利用に関する国際ルール作りへの協力等により、宇宙空間の安定的な利用の確保に貢献する。また、測位、通信、情報収集等のための宇宙システムを我が国の外交・安全保障政策等においてこれまで以上に活用可能なものとすべく、その高度化を達成するための研究開発及びそれらを支える宇宙輸送システム等の安定的運用により我が国の安全保障能力の強化に貢献する」とされています。
 そのような国家政策の下、貴機構は防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」にも毎年のように応募・採択されてきました。それについては様々なお考えや立場があると思いますが、JAXA の研究者の方々も日本の科学者コミュニティの一員として、日本学術会議が2017 年春に発した「軍事的安全保障研究に関する声明」をふまえるべきではないかと考えています。
 そのことについて、私たち軍学共同反対連絡会は、防衛装備庁の制度に応募しないことを求める1万名もの科学者・市民の署名簿を持参して、2017年6 月15 日、東京事務所に、池内了連絡会共同代表をはじめとする5 名で申し入れに伺いました。ご対応いただいたJAXA の広報部長の方に、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に応募しないよう求める要請書と緊急署名簿を手渡し、奥村理事長(当時)に届けていただくよう依頼しました。広報部長からは、「多くの人々からの想いを、しっかりと受け止め理事長に届けたいと思います」とのご返事を頂きました。
 しかしその後も変化なく上記制度に応募されており、今年度もタイプA で「屈折率分布レンズ材料に関する研究」が採択されています。
 それだけでなく、今年度、私たちが驚いたのは6月に幕張で行われた防衛装備技術国際会議/展示会MAST Asia 2019 にJAXA が「はやぶさ2」の実物大模型と宇宙状況把握(SSA)システムのパネルを展示されたことです。様々な武器が展示されている中でひときわ目立つ「はやぶさ2」は、海外の軍人や防衛産業の目には日本の防衛装備品移転(武器輸出)の宣伝塔として受け取られたに違いありません。それは、「はやぶさ2」に科学と地球の未来への夢を重ねてきた多くの人たち、とりわけ子どもたちの期待を踏みにじるものと言えるでしょう。
 さらに11 月に行われたより大規模な武器見本市に、JAXAはAssociation Supporter として名を連ね、陸域観測技術衛星「だいち2 号」の模型とそれを紹介したパネルや映像を展示されました。「だいち2 号」は、本来、軍事目的ではなく、地震や津波、台風などの災害状況の観測や防災分野のほか、森林監視や
自然環境の保全、農業分野での活用、地形図の作成などに開発・運用されてきたはずのものです。それをなぜ武器見本市に出展されたのでしょうか。表向きの目的である地球環境の監視とは異なった、軍事目的があったことを物語っていると捉えられても仕方がありません。
 百歩譲ってJAXA が「宇宙基本計画」により防衛装備の研究に協力せざるを得ないとしても、武器を売る商談の場に研究機関が出展する必要は全くないはずです。JAXA は「死の商人」になるべきではありません。このような最近のJAXA の動きに対して多くの科学者・市民が疑問を抱いています。
 私たちは貴機構が「人類社会の生活を進化させることで、人びとの喜びや驚きを生み出します」、「常に高みを目指し、どんな困難にも立ち向かう創造する志を持ち続けます」、「社会からの信頼と期待に応えるため、責任と誇りをもって誠実に行動します」という3 つの「行動宣言」を掲げられていることに共感します。だからこそ、社会からの信頼を深めていくためにも、市民の不安や疑問に誠実に向き合い、対話をしていただくようお願いしたいと思います。
 また貴機構は大学との連携について、「オールジャパン体制のもと、日本の航空科学技術及び航空産業の発展のために、これからも共同研究等の形態により、大学との連携を深めていきます。」としていますが、我が国のほとんどの大学は日本学術会議の声明に依拠し、軍事研究(防衛技術研究)に参画する動きはありません。貴機構が軍事研究にのめりこむならば、そういう研究機関との連携は困難なものになると考えます。
 そこで私たちは、その一歩として本日、上記のような私達の懸念をお伝えするとともに、下記の点について質問するためにうかがいました。なお質問については今日この場でお答えいただけないこともあると思いますので、2020 年1 月10 日までに文書でお答えいただければと思います。
 この問題は多くの科学者・市民も関心を持っていますので、この質問及びご回答については公表させていただくことを申し添えます。


【質問1】
 前の戦争で科学者が戦争に全面的に協力したことへの痛切な反省に基づき、1950年、日本学術会議は「戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない決意」を表明する声明を発表しました。いま科学者が軍事のための研究に手を染めることは先人たちの痛切な反省と決意を無にするものと考えますが、貴機構はどのようにお考えですか。
また現在、貴機構が防衛省と一体となって軍事研究に邁進しておられることは、先人たちが強く戒めた戦前戦中の科学者の状況に逆戻りするものと考えますが、貴機構はどのようにお考えですか。


【質問2】
 日本の宇宙開発は1969 年の衆議院決議において「平和の目的に限り、学術の進歩、国民生活の向上及び人類社会の福祉を図り、あわせて産業技術の発展に寄与すると共に、進んで国際協力に資するためにこれを行う」とされてきました。その後2008 年に成立した宇宙基本法は、宇宙の軍事利用への道を開くものとして、成立当時から危惧されてきました。しかし、この法律ができたからといって科学者に軍事研究の義務が生じたわけではありません。いま貴機構が自ら積極的に宇宙の軍事利用を推進しておられることは、科学本来の目的を忘れ、また憲法の平和理念を忘れた行為と考えますが、貴機構はどのようにお考えですか。


【質問3】
 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法第四条で、機構は、業務を、「宇宙基本法第二条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり、総合的かつ計画的に行う」と定められています。機構法の他の条文には平和や安全保障についての言及はありません。
 そして宇宙基本法は第一条で、「日本国憲法の平和主義の理念を踏まえ」、「宇宙開発利用に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の向上及び経済社会の発展に寄与するとともに、世界の平和及び人類の福祉の向上に貢献することを目的とする」とし、第二条で「宇宙開発利用は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約等の宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする」としています。
 このことから貴機構の業務は「日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われ」ねばならないことは明らかです。
 もちろん平和主義の中身については様々な考え方があります。集団的自衛権の行使が戦後長い間自民党政権によっても違憲であるとされてきた中で、2015 年に安倍政権は限定的な集団的自衛権行使を可能とする安保法制を法制化しました。しかしそれは国民を二分する論争となり、今も各地で違憲訴訟が続いています。このような中で、研究機関としてのJAXA が時の政権の主張に積極的に与するのはいかがなものでしょうか。機構法という法律に従うのは当然だとしても、「日本国憲法の平和主義の理念」そのものについて解釈が分かれているのですか
ら、時の政権の意思で左右されるのではなく、研究機関としての主体性を持ち、多くの国民の声に耳を傾けながら、政治がどのように変わろうともそれに左右されず真理探究という王道を歩むという抑制的な対応が求められていると思います。
 しかも「安全保障関連法の成立を踏まえた政府の取組について」とする閣議決定でも「我が国は、戦後一貫して、憲法の下で平和国家として歩み、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきた」としているのです。
 ですから政府が宇宙基本法第十四条「国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資する宇宙開発利用を推進するため、必要な施策を講ずる」ために貴機構に様々な研究・開発を要請してきたとしても、それに対して抑制的に対応し、専守防衛の枠を超え他国に脅威を与える宇宙開発は断じて行うべきではないと考えます。この点について貴機構はどのようにお考えですか。


【質問4】
 質問3に関わる具体的な質問です。JAXA が研究協力している、防衛省航空装備研究所による極超音速飛行を可能とするスクラムジェットエンジンの研究は、防衛省自身が「極超音速誘導弾用推進装置に適している」と公言しているものです(防衛装備庁技術シンポジウム2019発表要旨12ページ参照)。極超音速誘導弾は「島嶼防衛」を名目にしつつ、事実上の長距離ミサイルとして開発されようとしています。これは、日本が憲法9条の理念に基づき維持してきた「専守防衛」の原則を明らかに逸脱します。JAXA が憲法違反の武器開発に加担することは許されないと考えますが、貴機構はどのようにお考えですか。


【質問5】
 2014 年度の防衛省の政策評価書に記載されている「先進対艦・対地弾頭技術の研究」には、「我が国の島嶼部への攻撃に対して実効的に対応するため」の「誘導弾用弾頭」として、「上陸用舟艇等の近傍で起爆し、数発で数百m 四方の範囲にある目標を破壊する高密度EFP 弾頭」が挙げられています。これは2018 年度までに所内試験が行われるとの計画となっていました。ここで示されている「高密度EFP 弾頭」の「EFP」とは「爆発成形侵轍体」の略で、「自己鍛造弾」とも呼ばれています。お皿状の薄い金属箔に後ろからドンと衝撃波を与えると離れていく中で形が変わり、しまいに弾頭のような形になるとされています。これは形を変えたクラスター爆弾であり、本来なら中止されるべきものです(研究概要はこちら)。
 この技術は、はやぶさ2 が上から弾頭を落として土を舞い上がらせ、採取する技術と同様だと言われています。JAXA として、この研究に協力、関与している事実はありますか。また、今後、関与するお考えはあるのでしょうか。


【質問6】
 貴機構は防衛省の「安全保障技術研究推進制度」に積極的に応募し、2017 年度3 件、2028 年度2件、2019 年度1 件が採択されています。同制度に対しては、研究者や市民から科学技術の軍事利用につながるとして強い反対の声が上がり、日本学術会議も「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」とする声明を公表しています。また、多くの大学が同制度への応募を拒否する旨を表明しています。こうした中で、貴機構 の山川宏理事長は11月12 日の防衛装備庁技術シンポジウムの特別講演で安全保障技術研究推進制度に積極的に申請すると明言されました。この積極的に申請するという決定は、いつ、どのようなプロセスを経てなされたのでしょうか。また、強い批判の声についてJAXA としてどのように考えているのでしょうか。


【質問7】
 日本学術会議の声明に付随する報告「軍事的安全保障研究について」では、「科学者の研究成果は、時に科学者の意図を離れて軍事目的に転用され、場合によっては攻撃的な目的のためにも使用されうる。大学等の各研究機関は、施設・情報・知的財産等の管理責任を有し、自由な研究環境や教育環境を維持する責任を負うことから、軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究については、その適切性について、目的・方法・応用の妥当性の観点から、技術的・倫理的に審査する制度を設けることが望まれる」としています。貴機構では、安全保障技術研究推進制度への応募申請が研究者から出された場合、上記の審査を行っているのでしょうか。行っているとすればどのように審査され、可否はどのように決められているのかお聞かせください。


【質問8】
 質問4 にも関連しますが、貴機構が主担当となり、岡山大学,東海大学が分担研究者になっている「極超音速飛行に向けた流体燃焼の基盤的研究」が2017 年度の安全保障技術推進制度に採択されました。貴機構はこの研究が民生利用のための基礎研究であるとお考えでしょうか。それとも日本学術会議のいう軍事的安全保障研究であるが専守防衛の枠内なので応募を認めたのでしょうか。


【質問9】
 貴機構は今年6 月の防衛装備技術国際会議/展示会 と11 月に行われたDEFENCE & SECURITY EQUIPMENT INTERNATIONAL (DSEI) JAPAN 2019に出展されました。またDSEI でJAXA はAssociation Supporter として名を連ねています。機構法第十八条に貴機構の業務が定められていますが、武器見本市への出展はそのどの項目を根拠に行われたのでしょうか。また研究機関が武器見本市に出展しサポートすることは明らかに研究機関としての使命から逸脱していると思いますが、それについて貴機構内でどのような議論がなされ、意思決定されたのでしょうか。

機構法第十八条

機構は、第四条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 大学との共同その他の方法による宇宙科学に関する学術研究を行うこと。
二 宇宙科学技術及び航空科学技術に関する基礎研究並びに宇宙及び航空に関する基盤的研究開発を行うこと。
三 人工衛星等の開発並びにこれに必要な施設及び設備の開発を行うこと。
四 人工衛星等の打上げ、追跡及び運用並びにこれらに必要な方法、施設及び設備の開発を行うこと。
五 前各号に掲げる業務に係る成果を普及し、及びその活用を促進すること。
六 第三号及び第四号に掲げる業務に関し、民間事業者の求めに応じて援助及び助言を行うこと。
七 機構の施設及び設備を学術研究、科学技術に関する研究開発並びに宇宙の開発及び利用を行う者の利用に供すること。
八 宇宙科学並びに宇宙科学技術及び航空科学技術に関する研究者及び技術者を養成し、及びその資質の向上を図ること。
九 大学の要請に応じ、大学院における教育その他その大学における教育に協力すること。
十 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。


【質問10】
 「はやぶさ2」は科学技術の発展に寄与するとともに、子どもたちの科学への興味や関心を育むものですが、それが武器見本市で展示されたことは子どもたちの夢を壊すことだと思いますがどうお考えですか。そもそも「はやぶさ2」自体は軍事とは無縁のはずですがなぜあえて武器見本市で展示されたのか、その理由をお聞かせください。


【質問11】
 MAST では「はやぶさ2」とともにSSA システムを展示していました。またDSEI では陸域観測技術衛星「だいち2 号」を展示していました。貴機構はこれらを海外の軍や軍需産業に売り込んだり、将来海外の軍や軍需産業と共同研究・開発を行う考えをお持ちですか。その可能性があるから出展されたのではと私たちは考えざるをえません。これらを展示した具体的目的をお聞かせください。

 質問は以上です。誠意あるご回答をよろしくお願いいたします。



《宇宙航空研究開発機構からの回答》

2020 年 1 月 10 日

国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 理事長 山川 宏

 時下、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。平素から当機構の事業について、ご理解とご支援を頂き、御礼申し上げます。
 昨年12月17日に貴連絡会からご送付頂いた個々のご質問に対してお答えさせていただく前に、当機構の設立趣旨や役割について基本的な考え方をご説明させて頂きます。
 日本国政府の全ての活動は日本国憲法の平和主義の理念のもとでなされていると承知しておりますが、我が国の宇宙開発利用についても例外ではなく、宇宙基本法第2条において「国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるもの」とされています。なお、この「日本国憲法の平和主義の理念にのっとり」の趣旨は、同法の国会審議において、議員立法である同法の提案者から、「専守防衛の範囲内で我が国の防衛のために宇宙開発利用を行うことは、1969年の国会決議の文言及びその趣旨に反するものではなく」との説明がなされていると承知しています。
 次に、当機構は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法(以下、「JAXA 法」という。)に 基づき設置された国立研究開発法人であり、政府が定める宇宙基本計画において「政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関」と位置付けられておりますが、当機構もまた、JAXA 法第4条に定めるとおり、「宇宙基本法第2条の宇宙の平和的利用に関する基本的理念にのっとり」事業を行っております。より具体的には、当機構の主務大臣(内閣総理大臣、総務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣)は、独立行政法人通則法に基づき当機構が達成すべき業務運営に関する目標(中長期目標)を定め当機構に指示しますが、この中長期目標を定め又は変更するにあたっては宇宙基本法に基づいて政府が定める宇宙基本計画に基づかなければならないことがJAXA 法第19条で定められています。
 当機構は主務大臣の定める中長期目標を受けて、これを達成するための計画(中長期計画)を作成し、主務大臣の認可を受けて、事業を実施しています。このように、当機構は、宇宙基本法に掲げられた「日本国憲法の平和主義の理念」が貫かれた計画に基づき事業を行うものであり、政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的実施機関として、宇宙開発利用を推進しております。
 以上、当機構の位置付けをご理解頂いたうえで、昨年12月17日に頂きましたご質問事項について、以下の通り回答いたします。


【回答1】前述の通り、日本国政府の全ての活動は日本国憲法の平和主義の理念のもとでなされていると承知しており、当機構の活動についても例外ではなく、宇宙基本法第2条に定める「日本国憲法の平和主義の理念にのっとり」、関連法令を遵守しつつ事業を実施しており、ご指摘の軍事研究に邁進するものではないと考えております。


【回答2】回答 1 の通り、当機構は宇宙基本法第2条に定める「日本国憲法の平和主義の理念にのっとり」、関連法令を遵守しつつ、政府の定める宇宙基本計画及び中長期目標を達成すべく必要な活動を行っており、宇宙の軍事利用を推進してはおりません。


【回答3】回答1の通り、当機構は宇宙基本法第2条に定める「日本国憲法の平和主義の理念にのっとり」、関連法令を遵守しつつ、政府の定める宇宙基本計画及び中長期目標を達成すべく必要な活動を行っており、ご指摘にある、他国に脅威を与えるような活動はしておりません。


【回答4】スクラムジェットエンジンの研究が「事実上の長距離ミサイルとして開発されようとしている」との事実は承知しておりません。また、当機構は、前身となる旧航空宇宙技術研究所(NAL)の時代からスクラムジェットエンジンの研究に取り組んでおり、防衛省とは、JAXA 法に定められた範囲で、双方に共通する 要素技術課題についての研究協力を実施しています。前文及び回答1から回答3でも申し上げましたが、当機構は宇宙基本法第2条に定める「日本国憲法の平和主義の理念にのっとり」、関連法令を遵守しつつ、政府の定める宇宙基本計画及び中長期目標を達成すべく必要な活動を行っております。


【回答5】当機構が、防衛省の「先進対艦・対地弾頭技術の研究」に協力、関与しているとの事実はなく、その計画もございません。また、高密度EFP 弾頭に係る技術がはやぶさ2のインパクター技術と同様であるかどうかについて、当機構は承知しておりません。


【回答6】当機構の第4 期中長期目標において、安全保障技術研究推進制度に限らず、競争的研究資金等を通じて外部資金の獲得に向けた積極的な取組を行うこととされており、中長期計画においても、積極的な取組により自己収入の増加を促進することとしております。また、安全保障技術研究推進制度に対する様々な意見について、当機構はコメントする立場にはございません。


【回答7】安全保障技術研究推進制度に限らず、外部資金への研究応募については、提案しようとする研究者が所属する部門において、当該研究者が提案する内容が JAXA 法の範囲を超えていないこと、他の業務に著しい支障を生じないことを確認しています。加えて、当機構として関連法令との整合性等の統一的な視点から対応方針について問題のないことを確認しています。


【回答8】回答4の通り、スクラムジェットエンジンは旧航空宇宙技術研究所(NAL)の時代から取り組んでいるものであり、この基礎研究の成果はその実現に一歩近づくものと考えています。


【回答9】ご質問の展示会への出展に関わらず、当機構の広報活動は JAXA 法第十八条五項及び十 項に依ります。MAST Asia2019 については、主催者側から依頼があり、宇宙空間で深刻化しているスペースデブリ問題への対処の一環としての宇宙状況把握(SSA)の活動を紹介するため、パネル及び映像による展示を行いました。また、当時世間で大きな話題になっていた「はやぶさ2」の実物大模型を展示しました。DSEI については、主催者側から依頼があり、「防災に役立つ宇宙技術」をテーマとして当機構から模型やコンテンツ(ポスターにするための画像データ)の貸出しを行い、後援をしました。なお、「武器見本市」という貴連絡会の解釈については、当機構はコメントする立場にはございません。


【回答10】回答9に記したとおりです。


【回答11】当機構は国の安全保障貿易管理制度に基づいた厳格な審査体制を構築・運用しており、 「はやぶさ2」「だいち2 号」に係る機微技術が不適切な形で利用されることはないと考えております。展示の目的については、回答9に記したとおりです。

以上


軍学共同反対ニュースレター No. 40 (2020年1月28日発行)より転載