2021年3月5日 軍学共同反対連絡会事務局
【軍学共同反対連絡会ニュースレター第53号に掲載】
2 月27 日、オンラインによる学術会議フォーラム「危機の時代におけるアカデミーと未来」が開催された。そこで講師として招かれた井上科学技術担当大臣は、会員に対し次のように発言した。
「昨年来の会員の任命に関する経緯を通じて多くの会員の皆様が懸念を持たれているということは理解しています。しかしコロナ禍の中、国民が願っているのは学術会議と政府が未来志向で協力して活動していくことだと思います。国民の安全・安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ、Well Beingを実現できる社会に向け、様々な学術分野から日本の英知を結集して知の総合を担う日本学術会議の果たす役割に対する期待はますます高まっているはずです。一方で日本学術会議の活動内容が国民の皆様から広く支持されているかというと、率直に申し上げて心もとないのではないでしょうか。」
そして「日本学術会議の内部から国民の支持を得られる改革に取り組むこと」、「12月の中間報告に加えて ①学術会議の設置形態について現行にとらわれず様々な選択肢を検討すること ②科学的助言機能の強化や会員選出の透明性確保 ③中間報告以外の論点を検討すること」を求めたのである。
対面のシンポジウムであれば、ヤジと怒号で遮られたに違いない。「懸念」どころか違法行為の撤回を要求しているのである。そして多くの学協会・識者・国民が学問の自由と独立を踏みにじる政権の姿勢を問うているにもかかわらず、一切無視して学術会議が支持されていないと言い、「未来志向での協力」を盗人猛々しく呼びかけるのである。しかもここでは言及しなかったが、③の論点とは12月に井上大臣が梶田会長に要請したデュアルユースの容認、および理工系を増やし人文・社会系を減らすための定数再検討の二点であり、ともに学術の世界への露骨な政治的介入に他ならない。
…(中略)…
私たちがなすべきは、任命拒否撤回を求める学術会議を市民レベルで支える取り組みを広げることである。学術会議改革の背後に軍事研究へ科学者を動員するという戦略的狙いがあることを明らかにし、学者の世界だけの問題ではなく、戦争ができる国づくりを許さないすべての人々にとっての問題であることを訴えていきたい。
※全文は軍学共同反対ニュースレター第53号をご覧下さい。