学術会議総会の総意で「6名の任命拒否撤回!」決議を!政府の介入を許さず、現行形態を守り発展させよう!

2021年4月16日 軍学共同反対連絡会事務局
軍学共同反対連絡会ニュースレター第55号に掲載】


 菅首相による6名の任命拒否から半年。政府は違法状態を放置し、学術会議の抗議や1500近い学協会・市民団体等の声明を黙殺する一方で、設置形態や定数の変更を含む改革案策定を執拗に求めてきた。だが「任命拒否問題が解決されない限りは、日本学術会議の法的地位や性格がゆがめられたままであって、…法的基礎を破壊したままの改革はできない」というのが正論である。(高山佳奈子「任命拒否の違法性・違憲性と日本学術会議の立場」『学問の自由が危ない』晶文社.2021所収)

 しかしこの間、学術会議の意義や活動を知らない人々が多いことに乗じて、自民党や一部マスコミは虚偽の「既得権」や歪曲した学術会議像を振りまき、改革が必要だという世論操作を繰り広げてきた。その状況下では、学術会議の側から積極的に情報発信し、自主的改革を進めることも必要だった。それは政府の不当な要請に応えるためではなく、問題が山積する日本社会で学術会議は何をしているのかと問う人々、より良い社会のために学術的知見を生かしてほしいと願う人々に応えるためである。

 そこで学術会議幹事会は5点について検討し12月に中間報告をまとめ、その後3ヶ月かけて会員や学協会へ聞き取りを行った上で、4月8日「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて(素案)」を決定した。それが21日からの総会で審議される。

 だが審議の前提は、総会が総会として成立すること、任命拒否が撤回されて日本学術会議法が定めた210名全員による総会が実現することである。それが実現しなければ、総会で任命拒否問題の解決を求める決議をあげると梶田隆章会長は表明している。多くの会員が総会で発言し、満場一致で政府に対し毅然とした意志表明をされることを期待する。

 その上で「素案」の方向性を支持し、さらに充実させるための議論を深めていただきたいと思う。


…(中略)…

《政府の圧力をはねのけるために》

 「素案」を受け井上科学技術担当大臣は「国の組織のまま残るのであれば、国の組織としての責任をしっかり果たしてもらいたい。国から切り離して独立ということであれば、法律を作らなければいけない」と語った(朝日新聞4月8日)。また自民党PT役員会は「党の提言が全く無視された」とし「報告書案は受け入れられず政府に組織の見直しを改めて求めることを確認した」(4月9日NHK)。今後独立法人化に向けて政府が動き出す可能性もありうる。そこまで強行しないとしても「国の組織としての責任」を迫ってくるだろう。自民党下村博文政調会長は「軍事研究否定なら行政機関から外れるべきだ」と語っている(毎日新聞11月10日)。これは「政府機関に残るのなら軍事研究を否定するな」ということを意味する。たとえ設置形態変更が見送られるとしても、学術会議への圧力はさらに強まる。独立法人化を許さず、学術会議に対する不当な圧力を跳ね返すためにも、総会が違法な任命拒否撤回を求め続ける毅然とした姿勢を示されることを期待したい。

       4月16日 軍学共同反対連絡会事務局


※全文は軍学共同反対ニュースレター第55号をご覧下さい。