2020年2月13日
日本科学者会議茨城支部筑波大学分会
安保法制に反対する筑波大学有志の会
日本科学者会議茨城支部
筑波大学は2018年12月に、軍事研究を行わないという「基本方針」(「筑波大学における軍事研究に関する基本方針」【資料1】)を社会に向けて発表しました。ところが、わずかその1年後の2019年12月、筑波大学はこの「基本方針」に反して、防衛装備庁の令和元年度「安全保障技術研究推進制度」(2次募集)研究課題Sタイプに応募し、採択されました【資料2】。これは、5年間で最大20億円もの予算がつく大規模な研究資金であり、このタイプに採択された大学は筑波大学が初めてです。
筑波大学は、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に応募する研究課題が軍事研究に当たるかどうかを審査する学内審査会(「防衛装備庁『安全保障技術研究推進制度』等に係る研究資金受入審査委員会」)で応募の可否を判断する、としています。しかしそもそも、「安全保障技術研究推進制度」はその目的を、「防衛分野での将来における研究開発に資することを期待し、先進的な民生技術についての基礎研究を公募するもの」と定義しており【資料3】、この制度が軍事技術に転用可能な研究を推進するものであることは明らかです。
日本学術会議が2017年3月24日に発出した「軍事的安全保障研究に関する声明」の中で述べるように、「安全保障技術研究推進制度」は、「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく同庁[防衛装備庁]内部の職員が研究中の進捗管理を行う」ものであり【資料4】、資金の提供元やその運用の実態から、この制度が軍事研究を推進するものであると判断せざるを得ません。軍学共同反対連絡会も、採択された筑波大学の研究課題は、先端兵器・装備品等開発への活用につながる「『軍事研究』以外の何物でもない」、と厳しく非難しています【資料5】。
また、日本学術会議は、創設直後の1950年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明、および1967年に「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発出しており、今回の筑波大学による防衛装備庁の研究資金受け入れは、これらの声明に反しています。
さらに、今回、国立大学協会(国大協)の会長校である筑波大学が「安全保障技術研究推進制度」研究課題に採択されたことによって、他の国立大学にも少なからぬ影響を与えることが危惧されます。今回採択された筑波大学の研究課題は、明らかに「軍事研究」に該当し、同大学の軍事研究に関する基本方針だけでなく、「軍事研究」を行わないとする日本学術会議の声明や、筑波大学が立地するつくば市・市議会の発出した「つくば市非核平和都市宣言」とも矛盾しています。これらの理由から、筑波大学が今回採択された研究資金の受け入れを即刻中止することを求めます。
【資料1】筑波大学における軍事研究に関する基本方針
【資料2】令和元年度防衛装備庁研究課題採択(2次募集分)概要
【資料3】防衛装備庁安全保障技術研究推進制度概要
【資料4】軍事的安全保障研究に関する検討について(日本学術会議)
【資料5】軍学共同反対連絡会トップページ
筑波大学関連記事(軍学共同反対ニュースレターNo. 39)